2017.1.21-22 地域に彩りを加えながら、豊かに暮らす人たちと出会う。くらしと仕事をめぐる旅 ─ 自然に寄り添う暮らし編 ─

コンパスがご案内するとちぎのツアー「暮らしとしごとをめぐる旅」第3弾は、「自然に寄り添う暮らし編」。1/21(土)、22(日)の2日間で、栃木県北東部の4つの“暮らし”を訪ねました。

 

有機農業やゲストハウス運営など、地域に彩りを加えながら、豊かに暮らす人たちとの出会いを通して、「つくる」「つかう」「つたえる」がある暮らしと仕事に触れる旅。

2日間の活動の様子を少し覗いていってください!

 

那須町 伊王野地区 金子君の野菜畑

最初に伺ったのは、那須町の伊王野地区で有機農業を営んでいる金子さんご一家の農園(金子君の野菜畑)。

前日に降った雪により、辺り一面真っ白です。

外に出した机にお茶とみかんを用意して待っていてくれたのは、ご主人の金子洋次さん。

 

 

金子さん「移住して農業をしたい、といった自分たちの願望を叶えるためには、そこに住む一員として、時には予定外のことも一生懸命やらないといけません。そういう姿勢を見て、地域の人たちの理解を得ることができるんです。それにね、本気でやっていると、最初はやりたくないと思っていたことが楽しくなってくるんですよ。」

 

金子さんの農園では、近隣のレストランのシェフからの声も聞き入れながら、サイズの小さい野菜や山野菜などを栽培しています。

 

 

雪の中には、ぽこぽこと越冬中の野菜たちが!

土地を購入して農地面積を広げるのではなく、今ある土地を無駄なく使う工夫がそこかしこにされていました。

 

 

金子さんの農場経営のお話に、みなさん真剣に耳を傾け、メモメモ。

 

 

最後には、おみやげに掘りたてのキクイモを持ち帰らせてもらいました。

(このキクイモがどんな料理になるのかは後のお楽しみに…!)

 

 

那須町 芦野地区 那須ゲストハウスDOORz

 

次に訪れたのは、1日目の宿泊先にもなるゲストハウスのDOORz(ドアーズ)さんです。田中麻美さん、佐藤達夫さんご夫妻に、地方でのゲストハウス運営について伺いました。

 

 

麻美さん「DOORzは週末のみの営業で、私も主人も平日は別の仕事をしています。そのバランスが、ここで生活しながら、ゲストハウスとしてさまざまな挑戦をしていくのに調度いいんです。」

 

DOORzさんでは、定期的に地域の人々が料理を持ち寄って集まるごはん会や、他のゲストハウスと共同で「ゲストハウスサミット」なども開催しています。

 

 

築50年の古民家を宿として使うために自分たちで改装したことや、ここでのゲストとの出逢いなど、お話に出てくるエピソードはさまざま。

 

参加者のみなさんの中には日本各地のゲストハウスをよく利用しているメンバーも数人いたので、あれこれ具体的な質問も出ていました。

 

 

夕食には、お隣、那須塩原市の白牡丹さんによる薬膳ごはんを囲んでの親睦会を開催。

栃木について、地域で活動することについての熱い話に花が咲きました。

 

 

美味しいごはんに楽しいメンバー。とちぎの夜は静かに豊かに更けていきます。

 

 

那珂川町 小鮒農園

 

2日目、DOORzさんを後にしたコンパス一行が向かったのは那珂川町。遠くからも見える大きな平屋の古民家に住み、農業を営む小鮒農園の小鮒拓丸さん、千文さんを訪ねました。

 

 

千文さん「移住を決めた当初、家探しには1年はかかるだろうねって話していたんです。でも、役所の担当の方がとても親身に相談に乗ってくださって、案外すぐに見つかったんです。その後もいろんなタイミングでサポートしてもらって心強いですね。すぐそばに住んでいるこの家の大家さんもチャレンジ精神が旺盛な方で、一緒にそば畑を作ったりしています。」

 

現在は、ご主人の拓丸さんが農業を主に行い、奥さんの千文さんは農業を手伝いながらも、東洋医学などの知識を活かし、地域おこし協力隊として地域の食事改善などに取り組んでいます。

 

 

小鮒農園さんでは、実際に野菜の収穫をさせてもらいました!

「この辺の野菜は、好きに採ってそのまま食べても大丈夫ですよ。」

拓丸さんの言葉にワクワクが止まらないコンパス一行。

畑のあちこちで、「こんなに甘いんだ!」「葉っぱが分厚くてみずみずしい!」など感動の声が聞こえました。

 

その後は、千文さんのご指導のもと、みんなで手づくりお昼ごはんです。

 

 

おいなりさん用の油揚げにごはんを詰めたり、うどんの生地をこねて麺の形に切ったり……。

普段しないようなお料理体験に、みなさん夢中になっているようす。

 

 

さらに、前日に金子さんのところで頂いたキクイモも登場!

シンプルに素揚げにしていただきました。

 

 

ここでも、珍しい食感のキクイモの美味しさにみなさん感動。

新鮮なお野菜を食べると、心までみずみずしくなれそうですね。

 

 

最後は、那珂川地区で採れた柚子の種を使った化粧水づくりも教えてもらい、盛りだくさんの内容でした!

 

 

那珂川町 ヒロクラフト

 

最後に伺ったのは、同じ那珂川町に、木工房ヒロクラフトを構えて10年になる廣田充伸さんのところ。

のどかな田園風景をお散歩しながら進んだ先で出迎えてくださいました。

 

アトリエを見学した後は、お隣に併設されたショップに椅子を並べてお話を伺います。

 

 

廣田さん「以前は東京で3人の子どもたちと5人で暮らしていました。でも、みんな自然が好きで、ここに引っ越すことに。自然と共生しながら、昔からここで暮らしているおじいさんやおばあさんたちとの交流も楽しいんですよ。」

 

下の写真は、美術大学に通っていた娘さんが卒業制作として作った冊子。

この地区に住むおばあちゃんに密着取材するなど、ここでの生活や地域の魅力などが丁寧に綴られています。

 

 

また、廣田さんたちは2010年からこの地域で馬頭琴(ばとうきん)のコンサートを企画・運営しています。

会場となるのは、雑木林の先にある棚田。コンパス一行もその場所に案内していただきました。

 

 

木漏れ日が差す雑木林。

コンサートのときは、会場に向かうこの道沿いの木々に写真を貼って展示するそうです。

木々の生い茂る小路を抜けた先には……?

 

 

急にひらけた視界を見下ろすと、うっすらと雪が降りかかった広い棚田が……!

田植え前とはいえ、雄大な風景に、あちこちから感嘆の声が漏れました。

 

2日間の「暮らしとしごとをめぐる旅」は、ここで締めくくり。

最後は廣田さんご夫妻のご厚意でバスの待つ広い道まで送ってもらった後、各々の帰路につきました。

 

 

それぞれの想いを胸に、今回参加してくださったメンバーのみなさん。

集合して数分で全員が打ち解け、まるでずっと前から仲間だったかのような、一体感に満ちた2日間となりました。

みなさん、ありがとうございました!

 

コンパスでは、今後もとちぎとみなさんをつなげる活動を行っていきます。

ではまた、次のイベントでお会いしましょう!

(文 山越栞)