人口の社会増を達成するには? 敏腕ローカルプロデューサーが考える魅力ある地域に必要なこと。

開催レポート「地域事業のサポーター募集!ローカルプロデューサーの右腕をやりませんか?」

今回のコンパス「キッカケをつくる場」は副業がテーマ。

普段の仕事以外にワクワクしつつ力を発揮できるような活動、できていますか? なかなか思うように手を伸ばせていない人も多いのではないでしょうか。そんな人にも「新しいこと始められるかも?」というキッカケをお届けします。

 

コンパスのこれまでは、地域での活動に興味がある人や、なにか活動を始めたい人に向けて、現地で触れ合える場を提供してきましたが、自由な活動が制限される日が続く今に合わせて、自宅にいながら地域の活動に参加できる試みにチャレンジ!

 

栃木県下野市内で様々な活動を展開する、シモツケクリエイティブの「山口貴明」さんをゲストに迎えて、WEBミーティング形式で、ローカルプロデューサーの仕事体験イベントを実施しました。 地元に対してなにかしたい!今とは違う場所でチャレンジしたい!という人にとって、大切なこととは何なのでしょうか?

 

 

今回のイベント協力

今回のイベントには、副業・兼業の機会を紹介するプラットフォーム『YOSOMON!』が協力。『YOSOMON!』には「水産物の商品開発パートナー募集」や「ECサイトの運用サポート」など、さまざまな地域・業種からの副業募集が出ており、移動や移住の必要がないものも少なくありません。 イベント開催時点では「地域発事業のサポーター募集!栃木県下野市でローカルプロデューサーをやりませんか?」という、副業人材募集の求人がオープンしていました。

 

 

ローカルプロデューサーと山口さん

ゲストの山口さんはずっと下野市で働いており、本業は「一級建築士事務所AMPworks」での住宅設計や店舗デザインなど。

「何もないから何でもできる。無ければ創ろう」というモットーに従って、「仕事で特技の建築を通して地域に何ができるか?」考えて様々なアクションを起こしています。

 

例えば、「まちの活性化のためには人が集まり、イベントができる場所が必要だろう」と考えて、ただの自然豊かな公園だった場所に古民家カフェ「10 picnic tables」を作ったり、「外から人が来て楽しんでもらうためには宿泊施設が必要だろう」と考えて、体験と宿泊の複合施設「吉田村Village」を作ったりと、常に「地域の課題を希望に変えることを考え実現してきた」と言います。

 

ここで簡単に下野市について説明しておきますと、下野市は市内の端から端までの移動が車で30分程度という、栃木県内で最も面積が小さい市。山も海も崖もないなだらかな土地に、大学病院や総合病院が立地し「医療のまち」と呼ばれていますが、その一方で目立った観光資源がなく「何もないまち」と言われることもある、そんな場所です。

 

自分の地元や住んでいる場所に対して「何もないまち」って言いがちな人、多いのではないでしょうか?

対して山口さんが語った「下野市、なんもなくねぇよ。」という言葉には、たくさんの課題を希望に変え、実現させてきたという自信が強く感じられました。

 

ちなみに、ローカルプロデューサーという肩書きは、周りから「何をやりたいの?」と言われることが増えて来たため、自分のやってきたことやりたいことを整理した上で、自分で名付けたとのこと。 住民や地域事業者、企業、行政など多くのチャンネルとつながりを持って地域を良くしていく人という意味が込められているそうです。

 

 

 

(山口さんが手掛けてきたさまざま事例)

 

ローカルプロデューサーの仕事体験〜ifの世界を考えよう〜

イベント後半では、ローカルプロデュースでの視点の持ち方のひとつとして、「if・もしもの世界のことを考える」というワークを行いました。

 

そのお題とは、「日本国憲法 第22条 何人も公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」という条文に、勝手に附則を加え、「移住に要する金銭的負担は国が被ることとする。ただし、利用後5年間、及び、同市町村内隣接する市町村への移住にはその限りではない」としたとき、つまり、今以上に移住の自由度が高まった世界では、何が起こるのかを考えるというもの。

 

移住が自由になった世界で「1.何が起こり、それをどう捉える?」「2.それに対するアクションは?」についてそれぞれ、小グループに分かれて、意見を交わしました。

 

ぜひ、読者のみなさんもこちらのお題を元に、自分の住む町や愛着のある町の人口が、自然増(生まれて増える)ではなく社会増(流入によって増える)となるためには、何が必要なのか考えてみてください。

 

参加者の中からは「移住を積極的に行う人とずっと居続ける人の2極化が進むだろう。その結果過疎地域になった場所には広い土地が余る。その土地を使った大規模農業などの誘致がひとつの施策になるのでは?」という意見や「移動の自由が増えた世界では、一箇所に定住しない人も増えるのでは?そうなるとどこに住民票を置くか、行政側からのファンづくりのアクションが活発になるのでは?」など、短い時間の中でも様々な意見が出ていました。

 

 

終わりに

イベントの最後に山口さんは、移住の自由化は企業にとって切実な問題だと言い、続いて「地域には、住民、地域事業者、企業者、行政職員、そして関係者という5つの人がいます。住民が動けば、地域の事業者も動き、企業も動いていってしまう。魅力ある地域になるためには、住民がやりたいことを見つけて地域事業者になったり、副業で関わる人が増えていったりしたらいいのになと思う」と語りました。

 

 

今回の山口さんの右腕案件の募集は終了していますが、下野市では自分のやってみたいことを実現したい人、一緒に新しい未来を考えてくれる人を求めています。

 

地域の経済や文化の発展には、その地域でアクションを起こす人の数、パワーが欠かせません。もしどこか、下野市でなくとも、地域の事業に関わりたいという人がいましたら、「どうやったらその地域でアクションを起こす人が増えるか?自分はどんなスキルを使ってそれを実現するか?」を考えてみるのが、ローカルプロデューサーの成功の秘訣と言えるのではないでしょうか?