あなたのフィルターで那須の魅力を発見しよう!【後半レポート】

地域のことに興味はあるけど、踏み込むきっかけがない。

そんな人におすすめの場を「はじまりのローカル コンパス」は用意しています。

 

都市部に住みながら地域との関わりを持つライフスタイルを提案している「はじまりのローカル コンパス」が、毎年実施している『ひととまちとつながる旅』。

 

毎回、地域のナビゲーターを迎え、観光で訪れるのとは違う、地域の人と密接に関わる体験を提供しています。Uターンを考えている人や、地方で新しく事業をはじめたいと考えている人、地域活性化に興味がある人など、参加者の志もさまざま。地域に深く触れたい人のための入り口のひとつとなっています。

 

全プログラムは、東京でのオリエンテーションが1回と、栃木県内各地に赴いて行われるフィールドワークが2回。今回は11/25~26に実施したフィールドワークの2回目の様子をお伝えします。

 

※前回のレポートはこちら

 

 

前回のツアーでは主に、黒磯駅前通りにある空き店舗を使って新規開業しようとしているゲストハウスのDIYのお手伝いや、当日行われていた黒田原ナスタルジック映画祭に参加して、今回作成予定のラジオCMの素材撮影などを行いました。

 

今回のツアーでは、前回に続くラジオCMの作成ワークショップに加え、那須エリアの観光地として外せない”塩原温泉”や黒磯の街中歩きなどの、観光視点での深掘りがメインプログラムになっています。

 

 

再会の喜びとともにツアースタート!まずは塩原温泉へ

メンバーは那須塩原駅に集合。前回までの交流もあり、表情も最初から柔らかくリラックスムードでスタートしました。

 

まず向かったのは塩原温泉。塩原温泉は開湯1200年という長い歴史を持つ栃木県を代表する温泉地のひとつです。6種類もの異なった泉質の温泉に入ることができるのが、ほかの温泉地にはなかなかない塩原温泉ならでは特徴です。ちなみに温泉郷という言葉が生まれたのも、塩原温泉が基となっています。

 

塩原温泉では、お昼ごはんと入浴に加え、塩原温泉で旅館を運営している2人のキーパーソンにお話を伺いました。

 

ツアーの食事先に選ばれたのは「水車(みずぐるま)」。塩原の名物である、スープ入り焼きそばと、このお店のオリジナルであるソースラーメンが食べられます。

 

スープ入り焼きそばは、焼きそばなのかラーメンなのか名前からはよくわからず、参加メンバーは興味津々。ソース焼きそばにスープを足して作るというその味は、麺にしっかりとソース味が染み込んでおり、それでいてスープの味もしっかり。「ラーメンなのにやきそばの味がする!」と新鮮な味にビックリしていました。

 

食事を済ませたら、塩原温泉で行われている新しい取り組み「シャボン玉飛ばし」を体験。 シャボン玉飛ばしは、温泉街を流れる箒川の橋の上で実施しています。大きなシャボン玉が飛ばせると歓声があがり、川に沿って遠くまで飛んでいくと、メンバーみなが童心に戻ってはしゃいでいました。

 

シャボン玉飛ばしを始めたのが、旅館「彩つむぎ」の女将さんである、君島理恵さん。

塩原温泉に来る人を増やしたいけれど、お金がかかる大きなことはできない。何か簡単にできて目を引くものはないかと考えていたとのこと。その中で思いついたのが、このシャボン玉飛ばしでした。 試しにやってみたところ、年配の方も「子供心を思い出した」と好評で、そこから継続していき、子供も大人も楽しめる塩原温泉イベントのひとつとして定着しています。

 

君島さんのお話の後には、塩原温泉の温泉に関する講義も行われました。

 

塩原温泉は多種多様な温泉があることが特徴ですが、宿の主人であってもその温泉について詳しく語れる人は、かつてはあまりいなかったとのこと。 宿の人から温泉の知識を深め、訪れた人にわかりやすく説明できるようになることが、温泉街の魅力を伝えるための第一歩になるのではと考え、塩原温泉では民間資格の「温泉ソムリエ」の取得が積極的に行われています。

 

今回の講義を行ってくださった、「湯荘白樺」のご主人の杉山岳人さんも「温泉ソムリエ」のひとり。温泉の定義や、さまざまな泉質があること、塩原温泉の特徴などを説明してくれました。 講義のあとはもちろん、塩原温泉に入浴。講義で理解したことを思い出しながら、温泉に浸かってリフレッシュしました。

 

 

ゲストハウスでCM作り

塩原温泉の魅力を堪能したあとは、宿泊先である豊田さんのゲストハウスに場所を移し、前回のツアーで撮影した素材を使ったラジオCMづくりを行いました。 はじめて動画を作るというメンバーも多く、メンバー同士で意見の交換をしながら、試行錯誤。次の日の午前中に発表の時間を設ける、ということで各々もくもくと作業に集中していました。

 

夕食の交流会は大賑わい

CM作りの作業の途中から、地域の農家さんなどから夕食が届き始めました。

 

夕食が揃ったところで、地域の人との交流も交えた宴会がスタート。前回、今回とツアーに同行してくれた豊田さん大森さんをはじめ、地域おこし協力隊の人や、地元の農家の方、Uターンで那須に戻ってきた人など、さまざまなゲストを加えて宴会は大盛り上がり。

 

ツアーをずっとともにしてきたメンバー同士の交流も活発に行われ、お互いの思っていることを深く話したり、また別の場で飲み会をしようなどという話しが出たりと、確実に個々のつながりが濃くなっているようでした。

 

農家さんの朝食ではじまる優しい朝

2日目の朝は、那須で野菜の自然栽培を行っている「じょじょにファーム」さんから届いた、素朴で美味しいご飯でスタートしました。豊田さんは実際に営業を開始した後も、今回のように食事を提供してもらったり、近くに食べに行ってもらったりと、地域とつながるゲストハウスの形を意識して運営していくようです。

 

成果発表!作成動画の発表会

朝食後には、昨日の動画づくりの続きを行い、完成動画のお披露目も行いました。

 

前回のツアーの様子を動画にしているので、その内容や使っている素材は似たものが多かったのですが、参加者それぞれの組み合わせ方や表現の仕方が違って、まったく違う動画になっていることに驚き、前回を懐かしみながら作品を楽しんでいました。

 

 

「完成度はまだまだ。もう少し練り上げたい」という声や、「今回をきっかけにほかにもいろんな動画作りにチャレンジしてみたい」という声もあり、新たなチャレンジ意欲へとつながっているようでした。 メンバーが作成した動画は、今後、黒田原駅前放送局の「だっぱラジオ Dappa Radio」にて、放送予定です。

 

 

地域の人と一緒に黒磯の街中探索へ

発表会のあとは、少し頭をリフレッシュ。地元の人と一緒に黒磯の街中探索に出かけました。さながらガイドツアーのように、歩きながら通りがかったお店の紹介や、建物の紹介などしてくれました。

 

県外からも知られた存在になってきている複合施設の「Chus(チャウス)」さんや、カフェ「SHOZO COFFEE」のインテリアショップなどに足を運びました。

Chusは直売所とカフェレストラン、ゲストハウスが一体になった施設で、那須の地元で作られた農産物や、加工食品、雑貨などが並んでいます。こちらで美味しいアイスクリームを片手に一息。

 

話題のお店などが少しずつ増えている黒磯。

 

ちょうど黒磯は駅前の再開発も進みだしたところで、コミュニティスペースの建設予定などもあり、じわじわと盛り上がりを予感させるような気配を感じました。

 

 

「NASU WINE」ワイナリーで試飲ランチ

黒磯の街歩きのあとは、「NASU WINE 渡邊葡萄園醸造」にて、おいしいワインとともにランチ会が行われました。現オーナーの渡邊さんは、ワインの本場フランスのボルドーでワイン造りを学び、「那須から世界レベルのワインを提供したい」という想いで、日々研鑽をつづけています。ワイン造りに対するこだわりのほか、ブドウの樹の紅葉も美しいという話など、とても興味深い話を聞かせてくれました。

 

ツアーの総まとめワークショップ!自分たちでプランを作ろう

ランチのあとは、ゲストハウスに戻り、ツアー最後のワークショップを行いました。

 

これまで感じた那須のいいところや、話に聞いた那須エリアの魅力を元に「那須に泊まったらこんなことができる」というテーマで、複数のグループに分かれて旅のプランを練りました。 ツアーを通して学んだことを元に、改めて那須の魅力を捉え直し現実のプランに落とし込んでいく過程で、那須エリアの位置関係を把握し、何をどう見せたら魅力的になるか、それぞれ楽しみながら考えを深めていたようです。

 

それぞれ、対象となる人物像から考え、黒磯の街中を味わう都市型観光プランや、那須の自然を味わい尽くすアクティブなプランまで様々な提案がありました。作られたプラン&アイディアは豊田さんに渡され、今後のゲストハウス運営に活かしていただけるそうです。

 

 

決意新たにそれぞれの旅立ち

ツアーの最後に振り返りを行い、参加者それぞれがこれからアクションしたいことについて、考えをまとめました。

 

ツアー前からもともと地元に帰りたいと思っていた人は決意を新たにしたり、何か自分にプラスになることを発見したいと思っていた人は目指す方向がハッキリしてきたりと、各々自分の考えがより具体的な色を帯びて来たようです。

 

これにて全4日間行われた那須のツアーは終了。黒磯駅で解散し、それぞれまた自分の生活に戻っていきます。

 

今回のツアーがきっかけで、那須に何度も訪れるようになった人もいて、地域に知り合いができることが、新たな居場所のひとつになることを今回のツアーは証明してくれました。 ツアー参加者の中に、繋がりのある地域として刻まれた那須エリア。

 

間もなく開業を迎える予定の豊田さんのゲストハウスがある黒磯、佐藤さんのゲストハウスがあり街中とは違った那須の田舎風景を堪能できる芦野、大森さんとともに地元の人との街中交流ができる居場所を作っている黒田原など、それぞれの地域と人とのつながりができました。

 

個人旅行ではなかなか入り込めない旅人と居住者それぞれの立ち位置。今回のコンパスツアーではその中間に入り、町の人の声をたくさん聞くことができました。 これからの那須、これからのメンバーがどのように変わっていくのかとても楽しみです。

 

 

終わりに

「はじまりのローカル コンパス」には、なにかきっかけを探している人が多く参加しています。実際に地域に入り込んで取り組みを行っている人の生の話が聞けるのはもちろん、何をはじめたらいいかわからない人同士でも交流ができるのも魅力のひとつ。

とりあえず参加するだけでもイベントとして楽しめます。

 

地域で何かをはじめたい人。そんな人のために「はじまりのローカル コンパス」があります。

イベントは定期的に行われているので、ぜひ一度のぞいてみてください。

 

(報告・文:河野辺彬文)